天使的に☆悪魔的な
グィーーン。


『先生!!諒太はどうなんですか?』


『……君たちは?』


『同級生なんです。』


『親御さんの方は?』


『………あいつの両親の連絡先が分かんないんです。



一応家の方には先生が向かってるんですが、あと二時間は……。』


『ではあなた達に状況を説明します。









多分、一時間は持たないでしょう……。』



『………え?』


『かなり危険な状況です。


幸い、あなた達がやった緊急処置が効いたのか、今は心臓が安定してますが、



今が峠です。』



『……ウ……ソ……。』


もう助かる見込みはないの?


『あなた達の中から1人、彼に会ってあげてください。』



そう言うと、医者は静かに去っていった。



もって一時間……。


じゃあもう家族に会う事はないの?


『………あたし達が、最後の面会人?』


『そんなのウソだろ……?』


杏と陸がそれぞれ呟いた。


『………里衣。』


『………何?』


『あんたが会いなさい。』


『……どうして?』


『ここで気持ちを伝えなきゃ、いつ伝えるの!?


………最後になったらいけないから、早く気持ちを伝えにいきなよ。』


泣き腫らした瞳で青依は哀しげに言った。


『………分かった。』


伝えるよ。この気持ち。


例え諒太がいなくなっても、


気持ちだけは、


届けるから―――。


< 223 / 243 >

この作品をシェア

pagetop