もっと好きになる

[迷い道]





――夏休み。



気づけばあたしの学校は、今日から夏休み。



暑い暑い毎朝の登校も、しなくて良いと思うと気分が盛り上がった。



今日から昼ぐらいまで寝てても良いんだぁってね。



リビングのソファに寝転びながらアイス片手にテレビを見ていた。



ふと時間を見ればもうすぐ昼…



にしても、どうして夏休みは幸せな期間なのにつまらないんだろう。



「誰か遊べないかなぁ~…」



一応これでも受験生で、ほとんどの人は受験勉強で遊ぶ相手が見つからない。



仕方なくダラダラと階段を上がり、勉強しようとした時…



ピンポーン…ピンポーン…



家のインターフォンが鳴った。



誰も来る予定なんてないし、勧誘か宅配便だと思って判子を引き出しから取り出した。



「はーい、ちょっと待ってください~」



ガチャッと開けたドアの向こう側には、太陽の光で顔が丁度隠れている人が立っていた。



誰だろ?手で太陽の光を隠すと、そこにいたのは俊希だ。



普段着に胸がキュンと縛られる。



「俊希…」



< 19 / 30 >

この作品をシェア

pagetop