3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




「待てやコラ」



「お前……ってえな放せよ」


「冷徹女っつたか今?」



「だから?本当のこと言って何が悪い」



一触即発の空気。今にも乱闘になりかねない場面を止めに来たのは、偶然通り掛かり騒ぎ声を聞き付けたミロク。



「おい、そこまでにしとけ。恭介も手放してやれよ」



「ミロク……」



「ちっ、行こうぜ。ざけんじゃねえよな」



第三者が現れたことで、連中も恭介を睨むだけで事は済んだ。



「大方、美雪ちゃんが関係してキレたんだろ」



「冷徹女ってトイレん中で聞こえてきたから」



親友の性格はミロクは把握済み。



「てかさ、お前手洗った?」


「あ……ってねえよ、まだ」


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