てとてとてと
 白熱した球技大会の翌日から、また余所行きの仮面を被った。

 この年代や小学校の頃だと、外国人だからという理由でよく差別される。

 泣き寝入りはしたくないが、揉めると面倒なので極力本音を出さないようにした。

 優等生な口調で、粗野な動きはしないで、波風立たないように過ごしてきた。

 おかげで他人とぶつかることは減ったのだが、今はその仮面が重くて仕方ない。

 望んでもいないのにやってくる生徒、生徒、生徒。

 他愛のないお喋りなら構わないが、まるで見せ物のように人が寄ってくる。

 いくら被ることになれているとはいえ、やはり疲労は溜まるのだ。


「まあ、はやく友達を増やすんだね」


 本音で語れる相手を探せ、そう言っているのだろう。
 隣の生徒は、けけけ、と意地悪く笑った。

 むっとしたあたしは、反射的に椅子の脚を蹴り飛ばした。


「うわっ?」


 ガタン、と大きな音を立て体勢が崩れた。


 なにをする、と非難がましい目で見られる。
 だが、それより先生に怒られるほうが先だった。


「居眠りか? 吾妻」


 ちなみに、担任の数学の時間。

 いいわけは無駄か、とため息を吐くと。


「ゴリラに起こされる夢を見ました」


 そう言って廊下に消えた。

 あいつ、いつか後悔させてやる。

◇

 立ち疲れた。


 四時間目の授業が始まるなり、そう言って立たされ坊主は睡眠学習の準備を始めた。

 ちなみにいまは理科の時間。

 数学の時間ほどではないが、それなりに授業中の注意が甘い時間だ。

 しかし、それはできないやつは見捨てる、と言っているようなもの。


「あんた、赤点とるわよ?」

「平均点以下はあんまり取ったことがないなあ」


 腕組をしながら答える。
 とても嘘臭いのだが、授業態度はそれほど悪くないのだ。

 休み時間やホームルームはよく眠っているくせに、授業中の居眠りはあまりない。

 お喋りはしょっちゅうだけど、あたしのようにばれないやり方をしている。

 それだけのことで優秀かどうかなんて決められないのだが。


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