言霊師
見透かされてしまうのを厭った大人達は、大人びていて嫌な子だと言い、自分の子がムメと仲良くなるのを快く思わなくなった。やがて休日や放課後に彼女と遊ぶ子はいなくなったのだ。

それが、中学に入る前まで続いた。



「覚えているか?」


覚えているのは、言霊と戯れた事。中学で私立の女子校に入って、やっと友達と呼べる人が出来るまで、この場所で一人の思い出を刻んでいった事。

それだけだったはず。
不思議そうな顔をするムメと、優しい顔をする一言主を、風が包む。


「…私にとっては、昨日の事のようだ。そなたは、覚えていないのか?
―――今から10年程前の冬、この場所で、一人で言霊と遊んでいた少女は見知らぬ青年を見つけた。」
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