【短】知りたい。もう少し。

抜けた『青』



初めて出会った時の彼は、真っ直ぐな視線を私に向けていた。


無愛想な口元はニコリともせずに。


キツい一重瞼は、私に恐怖を感じさせて……。





──ガラガラッ。




汗を拭いながら、私は今日も早朝の教室のドアを開ける。




そこには私より先に着いている彼がいて。


真っ直ぐ向けられる視線は依然真っ直ぐなまま。

でも、ニコリともしなかった彼の口元には、微かな笑みが浮かぶようになった。


そして、相変わらず、ゆったりとした時間の流れの中にいる彼は、酸素じゃなくて、深海の水を吸って生きてるんだって私に思わせる。




< 5 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop