夢のお告げ
 そしてやがてひよりの話は自分がかつて見た不思議な話にまで及んだ。

「へえー。『巨』って言うのは大きいって言う意味だよな。しかも『ナオ』って読むって言うのも珍しい読み方だね」
 とひよりの夫は感心をしながらそのひよりの夢の話に聞き入っていた。

 やがて
「じゃああなたお腹の子は『巨=ナオ』に決まりね!」
  とひよりが言うと

「そうだね。なんかその名前を付けたらお腹の子が大きく育つ気がしてきたよ」
  と言う夫の言葉にこの日お腹の子の名前が『巨=ナオ』に決まった。
 
 また三ヶ月が過ぎて定期健診の日が訪れた。
いつも通り定番の検査が済み診察室でひよりと向き合った担当医は、不思議そうな顔をして胎児のエコー写真を眺めながら
「お腹の胎児が驚くほどの成長をみせています。心配していたのですがこの分だと出産後に保育器に入れなくても充分大丈夫でしょう」
 と説明をした。

「そうですか。私安心しました」
 とその担当医の言葉にホッと胸を撫で下ろしたひよりだった。

 そうなのです。ひよりの食は相変わらず細いのにも関わらず、胎児の名前を『巨=ナオ』と名付け、毎日『巨ちゃんお願いだから大きく育ってね』とお腹の赤ちゃんにやさしく声をかけ続けていたら、その『巨=ナオ』と言う名前がまるで魔法のような力を発揮して、今迄小さかった胎児の成長を急激に増す結果をもたらしたのです。

 それは昔ひよりが何気なく見た夢だった。そしてひよりのお腹に宿った子供が小さかったために、ひよりがある日突然に自分の意識下で封印されていたその夢が交錯し、やがてその夢の封印が解かれた。つまりはひよりはその時その夢を思い出し、自分の意識下にあったその夢を偶然手繰り寄せたに過ぎなかったのかも知れない。だがその夢のお告げに近いそれは、ひよりにとってとてつもない役目を果たし、やがてお腹の胎児はじよじよに日々大きく成長していったのである。

 ひよりは思う。毎日見る夢の中には案外こうして人生に於いての重要なアドバイスが隠されているものなのではないのかな?と。その夜からのひよりは夢の内容を目覚めた朝にノートにしっかりとメモ書きしようと決心をした。
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