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記念日
 真冬の灰色空の下、僕は駅前の公園へと足早に向かっていた。
 この日は僕と彼女の特別な日である。
 それにしても、こんな日に限って電車が延着するとか……ついていないな。

 時間は、ギリギリ……か。

 時計の針は待ち合わせの時間の五分前を指していた。
 そして案の定、彼女は既にベンチに座って、僕の到着を待っていた。

「待たせてごめん。寒いのに」

 僕は慌てて駆けつけ、彼女に自分がしていたマフラーを巻いた。

「ううん。私もさっき着いたばかりだから」

 彼女はそう言い、隣に座った僕にくっつき、笑みを浮かべる。

「そっかそっか。でも、寒いからそこの喫茶店に入ろうか」

「私、大丈夫だよ?」

 風邪を引かせるわけにもいかないので、半ば強引に彼女を喫茶店まで連れていった。
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