いなくなる
「今この学校の二つの派閥のは、教頭派の教師が10人。」


「学年主任の服部派の教師が10人の半々なんだよ。」



突然、幹男が雅樹の話のこしを折るように発言した。


「ちょ!ちょっと待てよ!10人と10人なら全部で20人じゃないのか?」


雅樹は、人の話をちゃんと聞いていない幹男に一瞬不快な表情を見せたが無視するかのように話を続けていく。


「教頭派にも服部派にも属さない中立の立場を取っている教師が8人いるんだよ!」


その瞬間、雅樹の話に出てきた中立派の存在に気づきバツの悪そうな顔をする幹男。


「そして今日服部と共に無断欠席をしている教師達の中に、5人の中立派の立場の教師らがいるんだよ。」


隆志は雅樹ほど感は鋭くないのだが、憧れの人が関わる事なのだからだろうか?

すぐに雅樹の話を理解した!


すると隆志は突然声を上げて怒鳴るように叫んだ!


「くそ!服部の野郎!おとなしい佐伯先生をくだらない派閥争いなんかに巻き込みやがって!」



隆志の怒鳴り声に本気で驚く稔と幹男!



雅樹は隆志の反応を冷静に読取り、隆志の思考が普段より鋭くなっている事を理解した。


心の中で隆志は、佐伯と服部の関係を勝手に邪推し嫉妬している。


雅樹は、その怒りの矛先が自分達に向かってこないように巧みに話題をそらした。


「ほら隆志、アイツ!アイツは、たしか教頭派だったはずだぞ。」


怒りの表情で、雅樹が目でうながす先には教壇にいつの間にか立っているアイツがいたのである。


隆志は視線をアイツに向けると思った。


・・・なんだ?・・・休憩時間はもう終わったのか?・・・

・・・しかしいつのまに立っていたんだ?・・・

・・・気持ち悪い奴だな・・・


隆志の怒りは、アイツに対する嫌悪感に変わっていった。


その隆志の表情を読み取り、アイツもたまには役に立つなと雅樹は心の中でクスリと笑い自分の席に戻った。
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