いなくなる
雅樹は、改めて後ろの席の隆志に問い掛けてみた。


「なぁ、塩田たち5人がいないけど、なんか知っている?」


雅樹の問いかけに、隆志は塩田の席を確認する。


「いや何も知らないけど?塩田の奴は1時間目から居眠りしていたからな、たぶん保健室で寝ているんじゃないか?」


隆志の返答に納得する雅樹であったが何かが引っ掛かる?


塩田が居眠りをしていたのは、自分も確認していたから隆志の言うとおりだろう。


・・・しかし、なにか違和感がある・・・?


おそらく塩田は保健室で寝ている可能性は高い。


居眠りの多い塩田は日頃から保健室でちょくちょく寝ているからである。



・・・しかし他の4人は・・・?



・・・5人全員が保健室に行ったとは思えないのだが・・・?



・・・なんでもない事なのだろうが・・・?




なぜか雅樹は、妙に気になるのである・・・?



カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ



雅樹の思いを掻き乱すように、カリカリと音をたてて黒板に書き込むチョークの音が、雅樹の集中力を奪っていった。


カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

雅樹の思考は教室にいない5人からアイツへと変わっていく。


なぜ、アイツはいつも黒板にひたすら文字を書き込んでいるだけなんだろう・・・?


今は数学の授業なのに、一度も生徒に問題を出したりもしない?


数学の授業なら普通するだろう?


雅樹の思考が空席の5人から教壇のアイツに集中していく。


その時、突然!、アイツは黒板に書き込む手を止め振り返り静かな口調で言った。


「・・・吉沢くん。早川くん前に出てこの問題を解いてみてください・・・」


「・・・えっ?・・・あっ!・・・はい!」
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