【探偵ピート・ジャンセン】
潜入~哀しみの再会


翌日、
ピートとターニャの二人は
先に訪れたサイバスとサラの
棲み家に忍び込んでいた。


二人がクラウスについての何か
情報を持っているかも
知れない。


サラと直接話す事により、
この50年余りのターニャと
サラの二人の間にあった誤解を
解きたい‥。


あくまでもサラの意識が
あの頃と変わっていなければ
の話だが‥。


サイバスの支配を解けば
サラの意識を解放する事が
出来るかもしれない。


カプセルの中の二人が目醒める
のを待つ‥。

それがどんなに危険な事かは
解っていた。


陽が沈み、サラの指先が
ピクリと動き、その眼が
開かれた。


カプセルのアクリル製の蓋が
静かに開く‥


ゆっくりと起き上がりながら
ターニャの方を向いたが
サラは平然と、


『ターニャ‥、
貴女なのね!
会えて嬉しいわ。』


『サラ‥
私が判るの‥?』

想定外の言葉に拍子抜けした
ターニャが聞き返した。


『勿論よ‥。

私の大切な‥


サイバス様を奪おうとした
とんでもない女!

あら、その人間はプレゼント?

仲直りの印しのつもりかしら?

それともサイバス様に捧げて
許しを乞うつもりなのかしら?

ハハ ハハハハハハ‥』


案の定、サラはすっかり
変わってしまっていた。



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