楽園まで行けたなら


瞬間、強く。

強く、胸が締め付けられるほど強く、抱きしめられて。
あたしの視界は何も見えなくなって、ゆうとの香りだけが押し寄せてきた。


だから、そのときのゆうとの顔を、あたしは知らない。

泣いていなければいいと思う。ぶる、とあたしを抱きしめる腕が震えていた。



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