†Orion†〜Nao's Story〜
両親そろって不在の先輩の家は、しんと静まり返っている。
その静寂さに、ますます緊張してきた。
……先輩と、二人きり。
ピアスを開けたあとは……どうするんだろう。
“ハイ、終わり。じゃあね”で終わるはずないだろうし。
「ピアスの位置はここでいい?」
「うん」
ピアスを開ける位置に、赤ペンで印をつける。
氷でしばらく冷やしたあと……
「じゃ、いくよ?」
「うっ……うん」
耳たぶにピアッサーの感触。
ドキドキと心臓の鼓動が速さを増していく。