†Orion†〜Nao's Story〜
「次は絶対に“三”で開けてね」
先に開けた右の耳たぶが、次第にじんじんと痛んでくる。
「次はちゃんと守ります」
笑いながら言う先輩は、守るどころか“一”とカウントすると同時に、ピアッサーを操作した。
「嘘つき~っ!」
「ははっ。終了~」
二度も約束を破られたけれど。
両耳に開けられたピアスに、あたしは大満足で。
しかも、先輩が開けてくれたから、幸せさえも感じていた。
「毎日ちゃんと消毒するんだぞ。消毒の仕方はここに書いてるから」
言って、先輩はピアッサーに添付された説明書を見せる。