ぬくもり
「あ、私だ。ハジメくんごめん、ちょっと。」
「あぁ、全然。」
私はハジメくんに背を向けて電話に出た。
「もしもし、ハート?どうしたの?」
《奈央?ちょっと聞いて!》
親友からの電話。
…内容はなんてことない、イケメンがいただのどーのこーの、幸せそうな内容だった。
「―…うん、うん。わかった。また学校でね。バイバイ」
《ピッ》
電話を終えたところで、お母さんがお茶を持ってきた。
お盆をお母さんから受け取り、ハジメくんの前にお茶を置く。
その時、電話は友達か?と聞かれた。
「うん、親友。明日学校で、イケメンがいた!っていう話をずっと聞かせられる羽目になりそう…。」
覚悟して学校行かなきゃ…
「お前が下校を一緒にしてる子が親友か?」
「うーん、多分その子…てか何で友達と帰ってるって知ってるの?」
一緒にいるときにハジメくんに会ったことないのに。
「時々見かけることがある。」
「見かけたなら話し掛けてよ!」
「いや、友達と話してるしなぁ、って思って。」
「別にいいのに。…まぁ基本的に一緒に帰ってるのはハートだから、ハジメくんが考えてる子で合ってると思うよ。」
ハジメくんにとっては要らない情報だろうけど。