ぬくもり



「あ、私だ。ハジメくんごめん、ちょっと。」




「あぁ、全然。」




私はハジメくんに背を向けて電話に出た。




「もしもし、ハート?どうしたの?」



《奈央?ちょっと聞いて!》




親友からの電話。


…内容はなんてことない、イケメンがいただのどーのこーの、幸せそうな内容だった。




「―…うん、うん。わかった。また学校でね。バイバイ」



《ピッ》



電話を終えたところで、お母さんがお茶を持ってきた。



お盆をお母さんから受け取り、ハジメくんの前にお茶を置く。

その時、電話は友達か?と聞かれた。




「うん、親友。明日学校で、イケメンがいた!っていう話をずっと聞かせられる羽目になりそう…。」




覚悟して学校行かなきゃ…



「お前が下校を一緒にしてる子が親友か?」




「うーん、多分その子…てか何で友達と帰ってるって知ってるの?」




一緒にいるときにハジメくんに会ったことないのに。



「時々見かけることがある。」




「見かけたなら話し掛けてよ!」




「いや、友達と話してるしなぁ、って思って。」




「別にいいのに。…まぁ基本的に一緒に帰ってるのはハートだから、ハジメくんが考えてる子で合ってると思うよ。」




ハジメくんにとっては要らない情報だろうけど。





< 56 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop