オカマとお馬鹿
ザワザワしだした電車の中、私は振り返った。



皆の視線はある人に向けられている。



その人は背も高く、見栄えの良い外見をしていた。
いわゆるイケメン。



イケメンというより…、綺麗な顔の造りをしているから美青年。



きっと欠点とかなくて、モテモテだろうなと考えた瞬間、それは美青年が発した言葉使いによって打ち砕かれた。



「あんた、痴漢してんじゃないわよ」



この言葉使いには周りが驚いただろう。
思い切り、目を見開いている。



オカマなのかと呑気に考えていたら、痴漢をしていたであろうおじさんが慌てたように言葉を発した。



「何を言ってるんだ、痴漢なんてしていない」



「嘘、触ってたじゃない」



「誰が君みたいな奴の尻なんか…っ」



あ、と思った時にはオカマが不敵に微笑んでいた。
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