恐怖 DUSTER
「だぁ~れだ?」六章
「裕子はあの暗闇の場所に居るのを望んでいる?!」


弥生には、理解できない事であった。


あの場所はとても暗く何も見えず、何も感じないところ・・・


あんなところに居る事を望んでいるなんて、弥生には信じられなかった。


「どうして?・・・なぜ、あんなところに居る事を裕子は望んでいるの?」


麻美は、またも冷めた口調でつぶやくように言った。


「裕子には、裕子の思いがあるんじゃない?」


「で、でも・・・あんなところに居続けるなんて・・・」


麻美は、弥生の手を取り微笑みながら言った。


「心配しなくても大丈夫よ!私達が必ず裕子もあの暗闇の場所から救い出して見せるから」


そう明るく言う麻美の表情は、弥生が感じるあの魔性の表情であった・・・



・・・なんだろう、この違和感・・・?


・・・麻美は私に、皆の悲しみや苦しみを理解し思いを一緒にしてと何度も言っているのに、何かが違うように感じる・・・?


「ねぇ?裕子は、あの時の事故にどのように遭遇して、あの暗闇の場所に閉じ込められたの?」


「・・・それは、裕子本人から直接聞かないとダメよ」


「入れ替わってから?」


「そう、入れ替わってからね・・・」


麻美は弥生から視線を外し、徐々に近づいて来る裕子たちを見つめながら言った。


その麻美の視線につられるように弥生も裕子達の方へと視線を向けた。


「弥生・・・あの人の事は聞かないの・・・?」


突然言われて、弥生は思い出したように慌てて、その麻美の言葉に反応する。


「そ、そう!あの人!あの人っていったい誰なの?」


麻美は弥生の方へ、くるりと顔を向けいたずらっぽく言った。


「どうしても知りたい?」


自分から、あの人の事をふっておきながら答えをじらす麻美の態度に、弥生はほんの少し不快に感じた。











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