ホスト前線上昇中
本音
 「ただいま」
やっと最近になって躊躇いもなく寮のドアを開けられるようになったんだよね。

「よっ!!今日は遅かったんだな」

「まぁね、いろいろと用事があって……」
陸上のことはまだ聞けないよね、流石に。
それに素直に私に話してくれるとも思わないし。

私と美由紀は何度も言うようだが、
たまたま一緒の部屋になっただけでそれ以外は何も……。

「そっか。言いたくなければいいよ、別に」

違うの、そうじゃなくて。やっぱ聞かなきゃダメだよね。

「あのさ──陸上……どうして辞めちゃったの?」

彼の表情が一瞬強ばった気がした。

「なんでそんなこと話さないといけないワケ?」

期待通りの返答。美由紀が素直に話すようには思えなかったもんな~。

「成績もよかったみたいだしさ、怪我だって治っているんでしょ!だったらもう一度復帰するべきよ!」

「俺に興味あるんだ?」

「そ、そういうことじゃなくてこれは――先輩に言われて仕方なくというか成り行きというか……」

「渉が俺と付き合ってくれるなら復帰してやってもいいよ」

なっ、な……なっだそりゃあ~っ!!
しかも……こんなにもあっさりいくとは……。

だが。

何故、陸上部の皆の願いを叶えるために私が一人犠牲にならねばいかんのだ!!


”杉原さん、お願い!!あなただけが頼りなのよ!!”


先輩の言葉が脳裏を駆けめぐる。

ええぃっ!!こうなったら!!


「分かったわ、付き合ってやろうじゃないの!」


こうして私と美由紀のラブゲームが始まった。
そう、これは『ゲーム』。

心の中で何度もそう言い聞かせていた――。
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