ホスト前線上昇中
キーンコーン、
カーンコーン……。


無情にも鳴り響くチャイム。

「今日もギリギリセーフだな」
学はすました顔で言った。朝から余裕たっぷりな笑みにむかついてしまう美由紀は、まだまだ心が狭いのかもしれない。

「うるせーよ、間に合えばいいんだって」

「朝から仲良く登校とはな。賭けはお前の勝ちってわけだ」

「見てたのか」

窓際の席からは登下校の生徒の姿がよく見える、いや……よく見えてしまう。

「ご覧通りさ。あの子……杉原渉って言ったっけ?」

「……」

「約束は約束だからな」

学は福沢諭吉を一枚を渡してきた。

「……これは?」

「忘れてたのか?一ヶ月分の昼メシ代」

「多すぎるよ、ばか」


「それと……レンタル料さ」


「何の?」

「……杉原渉」

「レンタルって、あのなぁ~!あいつはモノじゃねぇし、それに大体、お前は何を考えて……」

「確かめるんだよ……お前のことがどれくらい好きなのか」

これ以上反論しても無駄だと美由紀は思った。
そして『好きにしてくれ』と言わんばかりに溜息をついたのだった。
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