トリプレ
次女 瑞穂の孤独
「三つ子だったんなら、三つ子って言ってくれればいいのに…。」
 紘貴は朝っぱらからうるさい。
「別に言わなくてもいいと思ったし。」
「そのせいで恥かいたよ。瑞穂と思って違う人に話し掛けちゃったぁ。」
 だから敢えて言わなかったんだよなぁ~。間違ってる様子を想像するだけで面白い。
「…君、瑞穂だよね?」
 疑心暗鬼になってんなぁ。
「さぁ?私は誰でしょう?」
「そー言われたら普通にわかんないからさぁ…。でも瑞穂の性格はなんとなくわかってきたよ。」
「性格が悪いって言いたいんでしょ?」
「良くはないよね。」
 ハッキリ言ってくれるな、こいつ。
「瑞穂は自分を守るようなことは言わないよね。言いたいことはハッキリ言います、みたいな。」
「何が言いたいんだよ?」
「だから、瑞穂に偽善は通用しない。」
「はぁ?」
 意味わかんねー。
「そういえばさ、修学旅行瑞穂の班はどこ行くの?」
 急に話題を変えんなよ。自由な奴。
「さぁ?赤レンガ倉庫とかじゃないの?」
 私は無理矢理人数の少ない班に入れてもらったから、あまり話し合いとかに深く参加していない。というか、他の子が私をビビって空気が重くなるから、出来るだけ参加しないようにしている。どこに行くのかなんてよくわかんない。
「俺達の班はね、サブちゃん見に行くかって話になってる。」
「そう。良かったね。」
「良かったよ。」
「良かったね。」
「良かったよ。」
 なぜリピート…。
 
< 48 / 203 >

この作品をシェア

pagetop