ギブス
『…ソレでも…いぃ…
だって…、好きなの…っ
先生が…好きなの…っ
側にいられるなら…血なんて…
死んだって…っ』


「ナニを…、言っているんだ…っ
死ぬんだよ…っ
他の娘の血とは…、違うんだ…
お前は、ヴァンプである俺が選んだんだから…特殊なんだ…」


その、諒の言葉に…柚葉の瞳に、驚きの色が滲む…


『……っ…どうぃう…っ』


「ただ…、ほんの少し…血を貰うだけで済む…とは、ワケが違う…
ヴァンプが選んだ…娘は、その血を…ヴァンパイアを生き長らえさせる為の…“生贄”なんだ…
だから…その胸のアトは、俺が6年前につけた…“シルシ”だ…」


諒は、柚葉の胸元を指差しながら言った…


『…“生贄”…っ』
【…確か…

以前にも…、そぅ…言っていた…っ】


諒の言葉を…繰り返した柚葉…

諒は、頷き返し…


『でも…、ソレ、以前にも言ってたし…
あたしは…ソレでも…っ』
【先生に…、

初めて逢った時にも、聞いていた…


少しは…

…覚悟…、していたコトだから…っ】


柚葉の言葉に、諒は…重苦しいため息をついた…
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