ギブス
『……っ』


先程、化粧室で…泣いていたコトを、響子には知られていた…と、分かった…


『…あの…っ』

「大丈夫よ…、諒も…気づき始めてるはずだから…」


そぅ、微笑んだ穏やかな笑顔が…、一瞬だけ…重なった…


『……っ』
【…知ってる…っ

あたしが今日…、奏さんといるのに…


奏さんではなく…先生と…って…



もしかしたら…、先生の居場所、知ってる…っ】


そぅ、思い…響子に問いただそぅとした…


『…っあの…っ』

「母さん、タクシー…捕まったよ…」


…と、その場をかき消す…よぅな声が耳に届いた…


その声がした方を、振り返った柚葉と響子…


「あ、ありがとう…奏」


響子は、何事もなかったかのよぅに…さっさと、タクシーに乗り込む…


「じゃーねっ 奏、柚葉ちゃんをちゃんと送ってくのよっ」


…と、タクシーの後部座席から、そぅ言った響子に、奏は…


「分かってるよ…」


そぅ、言いながら…タクシーのドアを閉めた…


「じゃ、柚葉ちゃん…またねっ」


後部座席の窓を開け…、柚葉に軽く手を振りながら…そぅ言った響子…


『はぃ、お休みなさい…』


柚葉も、奏に気づかれなぃよぅに…響子に頭を下げた…


タクシーは、そのまま…街の雑踏の中に掻き消えて行った…
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