ギブス
ドアのノブに手を掛けた…

…が、


「……っ」
〔…馬鹿馬鹿しい…っ

追いかけて行って…、何を言うつもりだ…っ


あんな娘の…機嫌など、取る必要はなぃはずだ…



俺は、ただ…

彼女の血が…っ〕


…が、その考えとは逆に…


諒の脳裏に、次々と浮かぶ柚葉の表情…

柚葉と過ごした…時間の断片…


「…柚葉…っ」
〔…不器用ながらも…

俺を…“好き”だ…と、言ってくれた…

懸命に、応えよぅとしていた…


可愛いと思った…

愛しい…と…



血を奪い…、彼女を殺すコトなど…

抱いて…、彼女を汚すコトなど…

…出来ない…



ソレなら…

“嘘”をついて…離れてしまった方がいぃ…〕


諒の、口元から…微かに笑みがこぼれる…


「…好きになったのかな…っ」
〔…あの子を…っ〕
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