ギャップ的恋愛論





「あっ、あのっ…!」






かろうじて口を付いて出た言葉はこれだけ。
しかもかなり上擦り気味。






うわっ!かっこ悪っ!
落ち着いて、落ち着いて…





大きく深呼吸をして“久しぶり”と続けようと再び口を開きかけた時、





朋歌の手があたしの頭を掴んで無理矢理ぐりっと回した。





「ほらっ!」






「ちょっ、なにす−−」







おかげであたしの視界に、ケータイを耳にあててこちらを見ている神木の姿が飛び込んでくる。







…………えっ!?!
ケータイを耳にあてて…?





『いつまで着いて来る気?』







しかも受話器から聞こえる声と、その口はまったく同じ動きをしていて。







…………う、嘘でしょ…?







ケータイを握りしめたあたしの手が、力を無くしてダラリと垂れ下がっていった。






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