ギャップ的恋愛論




な、何か言わなきゃ…







気ばかり焦って、口をパクパクさせながらすぐ横にある顔を見つめ返す事しか出来なくて。







そのうち、あたしの言葉を待つように見つめていた瞳がすっと逸らされたかと思ったら、その人はまた静かに立ち上がった。






「なにがあったか知らないけど、その気もないのに男に付いて行くようなバカな真似はもうするなよ。
じゃあな…」







……えっ…
ナンパだって気付いてたの……?




っていうか、あたし、“ありがとう”も言ってない!







カァっと顔が熱くなるのを感じながら、あたしの手は咄嗟に、去って行こうとしてるTシャツの袖を掴んでいた。







「待って!あたしまだお礼言ってない」






「ん?別に気にしてねぇよ」






それじゃダメなの!



このままバイバイなんてしたくない……







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