雷鳴の夜
気を取り直し、私はペンライトを握り締める。

資料室。

その扉をゆっくりと開ける。

ギィイィィ…という不気味な音と共に開く扉。

…カビが生えた紙の独特の臭いが部屋には充満していた。

その臭いに軽く顔をしかめつつ、ゆっくりと中に踏み入る。

この部屋も他と同様、様々なものが散乱していた。

コンクリート片、ガラス片、木屑、本棚に納められていたのであろう専門書。

長年誰も入っていなかった筈のこの場所を、一体誰が荒らしたというのだろう。

さっきの咆哮を思い出し、背筋がゾッとするが。

「……」

今もにやついているヴィクターの視線を感じ、私は毅然とした態度を続けた。

< 63 / 150 >

この作品をシェア

pagetop