雷鳴の夜
ふと、この地下病棟に入った直後に発見した、外来受付の血痕を思い出す。

あの血痕は、恐らくこの大男の犠牲になった人の血痕。

食んでいた人骨も、犠牲者のものなんだろう。

人食いの怪物。

これが、この地下病棟で行われていた実験の産物…!

狂気と恐怖に卒倒しそうになる。

そんな私を。

「どけっ!」

まるで押し退けるように、ヴィクターが前に出た!

しなやかに襲い掛かる野獣のように。

ゆっくりと近づいてくる大男に対して突進する!

< 82 / 150 >

この作品をシェア

pagetop