ぼくの 妹 姫
「ほら~、席に着け」
なんか
お決まり過ぎるセリフを
大きな声で言って菅原先生は教室に入った
席に着いた生徒たちが
後ろに続く私に
興味深そうな
遠慮ない視線をぶつけた
カツカツと音をたてて
菅原先生は黒板に私の名前を書いた
どっかのドラマで見たシチュエーションだ
そう思った時
「今日から、本校に転入して来た
中西蕾(ナカニシツボミ)だ」
中西 と うながされて
「……中西蕾です。
よろしくお願いします」
軽く頭を下げると
「数学の中西の妹だ」
数人の生徒のボソボソと話す声が聞こえた
へぇー
もう知ってんだ
「中西。お前の席な一番後ろの窓際。伊東の隣だ」
伊東?
「伊東!」
菅原先生が大きな声で呼ぶと
まるでペンギンみたいに髪の毛をツンツンにたてた
目付きの悪い男の子がダルそうに手を上げた
彼が伊東くんね
その隣は空席だった
窓際か いい席だ
私は少し嬉しくなって
クラスメイトの好奇な視線を浴びながら
席に着いた
隣の人に挨拶するべきかな?
チラッと隣の伊東くんを見ると
頬杖ついて明らかに話しかけなくて いいオーラを感じ
私も前を向いた