ぼくの 妹 姫
蕾の後ろ姿を追ううちに
彼女がどこへ向かっているのかが わかって
足が急に重くなった
6歳の時に この街を離れ
8年ぶりに帰って来た蕾が
正確に【そこ】へ向かってる事にも驚いた
どうする?
そう問いかける自分がいる
どうする?って…………
蕾を置いて帰るわけには いかない
重い足を 前へ前へ運んだ
途中で 蕾は 立ち止まった
そこは公園の入り口
木の葉の擦れる不気味な音が響く
白い街灯が 照らす薄暗い公園を
蕾は しばらく じっと見つめ
―――まさか入らないだろう?
そんな ぼくの予想を裏切るように
蕾は 公園へ一歩 踏み込もうとして
止まった
何か考えるように 自分のつま先を にらんでから
蕾は 公園に背を向け
また夜道を歩き出す
後を追うぼくも
通りすぎる時
一度 公園に 視線をやった
蕾が この公園に入れるわけがない
この公園で 襲われたのだから
あの時の犯人は捕まる事なく
どこかで普通に生活してる
幼い蕾を 傷つけゴミのように捨てた
人間の面した鬼が――――