道標

独~肆



  独~肆

 君は運命を信じるかい?
 僕は信じない。
 誰かが死ぬ時、残された人は言う。
 『あれがあの人の運命だったのさ』と。
 それではあまりにも悲し過ぎる。そして寂し過ぎる。
 君は、
 君はいつものように行動していた。
 その日は久しぶりによく晴れた日だった。だから君はバイクで行こうとしたんだね。
 何でもない道を君は、君のことを待っている人に会いに行くために走っていた。
 君には何処にも落ち度は無かったよ。
 ただ、横から飛び出してきた車は違ったんだ。
 その運転手は余所見をしていたのかもしれない。先を急いでいたのかもしれない。同乗者と話をしていたのかもしれない。でも、やってしまったことは一緒だった。
 運転者は止まるべきところを止まらないでしまった。
 そして、その結果も同じだった。
 車に乗っていた人は傷一つ負わなかった。だけど、
 君は死んでしまった。
 そう、約束をした次の日に。


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