天を仰ぎ


私はその時の記憶すらない


覚えているのは母親と父親が頭を優しく撫でてくれ、抱きしめてくれた記憶のみ

「美優ももう大人だもんね…。」


悲しそうに母親は言い、ミユの隣の椅子に座る


「別にお母さんを困らせたい訳じゃないの。ただ、ちょっとどうだったのかな?って思って。」


母親はミユの両手を自分の手でゆっくりと包み込む


するとその時の情景が頭の中に流れる様に入ってくる









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