世界中の誰よりも

黙ったまま立ち尽くすあたしを、じれったそうに加奈子が促す。


「ほら、学校行くよ!」

「う、うん」


加奈子には右、愛美には左の腕を引かれて学校までの道を行く。


「帰りも一緒に帰るからね」


有無を言わさないような、ニッコリと眩しい笑顔で愛美が言う。

あたしは複雑な気持ちだった。

父はあたしが加奈子や愛美と喧嘩していたことを知らない。

アヤやマキの存在も知らない。

父が見張れない学校でもあたしを守るために、仲の良い友達として加奈子と愛美に連絡したんだろう。

あたしは父をお節介だとは思わなかった。

むしろじんじんと温かく滲みた。
< 177 / 264 >

この作品をシェア

pagetop