世界中の誰よりも

割り込んできたのは母だった。


「あら、加奈子ちゃんならスーパーに行く途中で会ったわよ。男の子と歩いてたけど」


あたしの額に気持ちの悪い汗がにじむ。

父は周囲をさらに重厚な空気に変えた。


「どういうことだ」


若干焦ったあたしは、上手い言い訳が見つからないまま黙る。


「お前は門限を破った上に嘘までつくのか」


あたしは相変わらず黙る。ここで何か言ったって火に油だ。
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