一匹狼と狼少女
アタシは龍也を見る。
なんだかぎこちない空気が流れた気がして、アタシは目をそらした。
唇に何かが当たった。
冷たい。
アイスかな、と思ったけれど。
段々熱を帯びてきて…
龍也の唇だった。
「…ん…。」
違う角度から触れる。
アタシは正気に戻って、持っていた本でベシッと龍也の頬を叩いた。
「何すんの!」
「…本能的に。」
平然と答える。
「本能的にって…。」
君は狼かーっ。
「も、戻るっ。」
アタシは本を持って、戻った。
生徒会は消えた人魚の話で持ちきりだった。
July.END