一匹狼と狼少女
雛菊
昼下がり。
アタシは裏庭の隅で、人に見られないように身を縮めて寝ていた。
授業中だし。
爆睡をしていたけど、近くで何かが動く音がして目が覚めた。
隣で本を読む背の高い男子生徒がいた。
しかもそれ、アタシの本。
授業終わってないし。
「…あんた、さっきの。」
不良。
「あ、起きた。」
本を閉じて、アタシを見た。
「こんな所で寝てると襲われるぞ。」
不良は呆れた顔。
「襲おうとしてた?」
アタシは挑発するように言ってみた。
「少し。」
不良の顔は意外にも美形だった。
アタシは体を起こす。
「じゃぁ、逃げる。」
アタシの言葉が終わるか終わらないかの内に、不良に腕を掴まれた。
「何。」
「用がある。」
やっぱり、背が高い。
アタシより15センチくらい高いかな。