空の果て星の息吹
表紙は何十回も読んだのかかなり、薄汚れてはいたが文字は、どうにか読めた


『ジェニーの肖像』


古い町並みと少女のイラストの本だった。


『紙の本って珍しいね』


『あっ、はい、文学はデータで読んだり聞いたり、観たりするよりも、活字で読んだほうが、頭に入ってくる感じがして好きなんですよ』


彼女は少し緊張していたのか、少し高い声で、眼鏡を指であげながら話した。


その声が、緊張してるのをみて、思わず笑顔になる。

彼女は少し赤くなりながらもつられて笑った。


『私はアナログなんです、科学の最先端を学んでいながら、よく不思議だねって言われるんです』


彼女は床に散らばった、ディスクやら、携帯やらを拾いあげると、スカートを払った。


『それは、僕も同じだよ、僕はあの星々を研究したくて、この学園にいるのだから、ここに見える星の光は、僕達がまだ人として空を意識しない頃に発した光が長い旅をして、届いているものもあるのだから、結局は科学だって、考古学的なアナログ学問になるよね』

僕は今まで言えなかった話を不思議に語っていた。
何故か、初めて会ったが彼女にはつい話してしまうのだ。


『その感じ凄く判るよ・・面白いね・・・もし良かったら名前聞いてもいいかな?』


『遠野ソラだよ、、高等部3年だよ、あなたは?』


彼女はハニカミながら答えた。


『私は、月夜野ユイ、同じく3年、よろしくね』


何気なく出された、彼女の白い手に握手をする。
柔らかい彼女の温もりに満たされた。


僕らは、こうして出会った

全ての項目が何かしら意味があるのなら、僕らの出逢いにはどういう意味があるのだろうか?

月夜野ユイを後で知ることになるが、学年では有名な才女であり、少し変わったオリジナリティな女の子で通っていた。


いわゆる不思議な感じの子であった。


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