空の果て星の息吹

月夜の女神

病室用のスリッパだと音が出るから、屋外に出る時に使うスニーカーを履く。


ベッドから抜け出して、伯母の寝息を確認して、廊下にでる。


窓からは星々が見える。
明るい夜空に見とれないように、廊下を足早に歩く。

ユイの心療内科病棟は隣棟になるので、かなりの距離を歩かなければならない。

迷わないように、夜空の薄明かりで照らされた廊下を進む。


ナースステーションを見つからないように歩きながら目的の病棟に着く。


ネームプレートを確認しながら、月夜野ユイの名前を探す。


ユイの名前は一番奥にあった、名前を何度も確認する

扉にゆっくりと手をかける・・・・


扉をあけると、白いベットの上で上半身だけ起きていて、頭に包帯をしている女性が見えた。


月夜の空を見つめている黒髪が長い女性の―――


月夜の薄明かりに照らされて、白い肌が、まるで輝いた様に見える。


会いたかった人・・・


月夜野ユイだった。


でも、ユイはこちらを見て微笑むだけだった・・・・

にっこりと見て、また窓から見える月を見ていた。


月夜野さん・・・・


声をかけたくてもかけれない感じだ・・・


月夜の明かりに見えたユイは凄く綺麗だった・・・


近い位置に居たけれど・・・・・


まるで、遠く離れてるように感じた。



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