〜花魁〜
『いや…何もないです。俺の事は気にしないで、勝手に飲んで下さいよ!』
「そっか。てか、この中にタイプの女おらんのか?」
こっそり耳打ちなんかしてくるから、耳元に不快感を感じた。
ふと、目の前のビールから女の子達に目を移し
端から1人づつ見て行くけど…
『べつに……いないですね…』
そう言ったのも束の間…
一番、向こうに座った女の子に目が行った…
今時珍しい、真っ黒のショートヘアに
髪の毛から覗く色白の長い首
可愛い!!とかじゃなくて…何故か気になった…
それ以前に、俯いているから顔が見えない。
だけど、他の女の子達がギャーギャー騒ぐ中…彼女は一切口を開いてない。
それが益々、俺の興味を誘う……
てか…、空以外の女の子に興味を持つなんて今まで一度もなかったのに…
――そんな自分自身に少し驚いた。
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