She and I・・・

★7★ ~宇宙からのメール

To:チナツ
From:イタル
Sub:

このメールも届かないのかな?

クリスの一件の後は、不思議なほど穏やかな日々が過ぎている。

みんな自分の為すべきことをする

という気持ちで一つになったのかもしれない。

かく言う僕は、

あいた時間をみつけては、ロボットアームのシミュレーターでトレーニングをしてる。

もう、必要のないこと

に思われるかも知れないけど、

考えて見れば、
僕はこの腕を評価されて、
この船にいるのだ。

発揮する機会はなくなってしまったけど、

それで僕のこの船での存在価値がなくなってしまうのなら、

なんで君とこんなに長い期間離れてまで、
こんなところにいるのか?

という思いで、気が狂いそうになる。

気が付けば君のことばかり考えている。

出逢った日のことや、君が来た歓迎会の日のことも。

あの日のことは、
今思うと自分のことを情けなく思う気持ちと、あの時の君のことを微笑ましく感じる気持ちと両方の感情で思い出される。

無事に入学した君は、僕のいる研究サークルにも入って来たね。

歓迎会で歓迎する側の在校生は、何かパフォーマンスをしようということになったけど、

僕は気のきいたことは何も出来なかった。

「早くやれ」だの「シラケるじゃないか」だのという野次の中でも、下手な歌を歌えるでもなく、

僕は「そんなこと急に言われても・・・」と、まごまごしていた。

場の空気が悪くなりかけたころ、

「私が代わりにやります」

と君が急に立ち上がった時は驚いたよ。


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