She and I・・・
★10★ ~宇宙・ダン
「帰ったら勝負しよう」
ダンは体制が変わって、僕がパイロットのシフトに入るようになってから、そう言うようになった。
僕が操縦席につくようになってからも、
クリスかダンと組むことがあったが、
僕は、副操縦士席に座るようにしていた。
だが時々ダンは僕に操縦席につかせ、そう言うのだ。
そして、
「俺について来ることが出来たらお前の勝ちだ」
と言う。
帰ったら勝負というのは、飛行機による勝負のことらしい。
ダンについて行くことが出来ればというのは、
かなり厳しい条件だ。
「俺はまだおまえを認めたわけではない--」
「--クリスの言葉を信用しているだけだ」
空軍に配備されている世界最速の戦闘機によるトレーニングが宇宙飛行士には課されていた。
ダンはもともと空軍のエースパイロットだった。
そこで宇宙探査局から研修に行ったクリスにこてんぱんにやられたらしい。
しばらくしてダンは宇宙探査局に中途採用で入局してきた。
「民間にもすごいパイロットがいた」
と驚いて興味を持ったかららしい。
その噂を聞いたクリスは、
「僕の師匠の方が数倍うまかったけどね。それに、ここも民間じゃないし」
と言ったという。
これは他人から聞いた話で、本人達に確認したことはない。
だいたい、いつも不機嫌そうに見えるダンに、
「クリスに負けたって本当ですか?」
なんて訊けない。
しかし、
負けん気の強いダンが
クリスを信用している
と言っているのだから、
似たようなエピソードはあったに違いない。
いずれにしても、二人は探査局のトップクラスのパイロットなのだ。
その一人に認められ、もう一人からは勝負を挑まれているのは喜ばしいことなのだろうか?
そんなダンの問い掛けに、
いつもは頷いていたのだが、あるとき返事をしてみた。
「あなたにかなうわけないじゃないですか」
「当たり前だ。だからハンデをやっている」
「・・・」
「だが、一つ教えておく--」
ダンは体制が変わって、僕がパイロットのシフトに入るようになってから、そう言うようになった。
僕が操縦席につくようになってからも、
クリスかダンと組むことがあったが、
僕は、副操縦士席に座るようにしていた。
だが時々ダンは僕に操縦席につかせ、そう言うのだ。
そして、
「俺について来ることが出来たらお前の勝ちだ」
と言う。
帰ったら勝負というのは、飛行機による勝負のことらしい。
ダンについて行くことが出来ればというのは、
かなり厳しい条件だ。
「俺はまだおまえを認めたわけではない--」
「--クリスの言葉を信用しているだけだ」
空軍に配備されている世界最速の戦闘機によるトレーニングが宇宙飛行士には課されていた。
ダンはもともと空軍のエースパイロットだった。
そこで宇宙探査局から研修に行ったクリスにこてんぱんにやられたらしい。
しばらくしてダンは宇宙探査局に中途採用で入局してきた。
「民間にもすごいパイロットがいた」
と驚いて興味を持ったかららしい。
その噂を聞いたクリスは、
「僕の師匠の方が数倍うまかったけどね。それに、ここも民間じゃないし」
と言ったという。
これは他人から聞いた話で、本人達に確認したことはない。
だいたい、いつも不機嫌そうに見えるダンに、
「クリスに負けたって本当ですか?」
なんて訊けない。
しかし、
負けん気の強いダンが
クリスを信用している
と言っているのだから、
似たようなエピソードはあったに違いない。
いずれにしても、二人は探査局のトップクラスのパイロットなのだ。
その一人に認められ、もう一人からは勝負を挑まれているのは喜ばしいことなのだろうか?
そんなダンの問い掛けに、
いつもは頷いていたのだが、あるとき返事をしてみた。
「あなたにかなうわけないじゃないですか」
「当たり前だ。だからハンデをやっている」
「・・・」
「だが、一つ教えておく--」