すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
顔を合わせる度に、自分が苦しめているという罪悪感が募る。
昔のような笑顔が、まだ見られない悔しさとともに…。
それでもオマエには、まだ何も言えない――
だが、遠まわしになら…、違反にならないだろう?
「蘭、今日はこの車で行く――」
「え…、あ、かしこまりました…」
バンッ――
車に興味の無い蘭は頷くと、いつものように乗り込んだ。
シートベルトを締めたのを確認して、初めて俺はエンジンをかけた。