三日月<本編>
携帯知って1ヶ月くらいで、よく連絡とってるって言っても何かもらおうとかは思ってなかったから。


「なぁ、何欲しいん?」


タバコに火をつけながら拓也が聞く。


「えっとなぁー…ハワイ旅行とディズニーランド♪」


「なんや、そんなんでええの?それやったら明日からいけるやんー☆」



こんな話の飛んだふざけ合いはいつもの事。


「んー…あ。これいる?」


拓也が右手の左手の小指にしていたリングをとって渡した。

それはいつも身につけてるもの。


受け取って、右手の小指にはめてみる。


大きい。


左手小指でももちろん大きいし、その他の指やと小さくてピッタリの指はない。


「おっきいー↓」


リングを返した。


「そうかー…何がええやろ」


《なんかはしてくれる気なんや……忘れてたから…?》


そんな事考えながら拓也の横顔を見てた。


「あ、映画見に行く?ちあきが好きな俳優の新作もうやってんちゃう?」


《行きたい!…2人がいいけど…》


瞬間にそう思った。


「みたいっ☆」


喜んで答えると、


「どうする?他も誰か誘う?」


と聞かれた。



それはもちろん嫌だと思ったけど、2人がいいなんて言えんくて…


「うん!」


行きたいと言った笑顔のままで、勢いよく答えてしまった。


《うわ。なんでやねん↓そんなん嫌やのに…でも今からやっぱり2人でいことか言ったら変やんなぁ…》


「おぅ、じゃあ明後日のクラスのボーリング大会の前くらいにいけるヤツ聞いていこか。」


今さら否定なんてできひん…


ちあきは後悔でいっぱいやったし、少し前から、気になる拓也の事を話してた、高校の時の友達エリにこの事をメールすると、やっぱり


<アホか!>

って怒られた。



ちあきは後悔と同時にもう一つ気がついた。



胸の中に拓也が大きく存在してることを。
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