さよならのラブレター
しばらく沈黙が続いた
ようやくお父さんが口をひらいた

「なぁ唯…」


「なに?」


「人間ってよ不思議だと思わないか?」


「急にどうしたの?」



「俺、唯がいい奴に出会えてよかったって思ってる」


「うん…」


「幸せだって聞いて安心もしてる」


「うん」


「結婚するって聞いた時は嬉しくて嬉しくて…」


「うん」





「でもな
それとは反対の感情が出てくるんだよ」


「反対?」


「宣之くんに嫉妬する気持ち
それとお前が結婚する…

…やっぱり寂しいよな…」


「お父さん…」


「不思議だよな…
こんなに幸せな事なのによ…
なのに寂しいな…」

私は泣いてしまった

「お前泣くなよ…
お前泣くと俺も泣いてしまうようにできてるんだから」

「なにそれ?」
泣きながら言った

「お前が結婚の報告しにきた時からずっと我慢してたんだぞ

唯も俺の前で我慢しただろ?
だから俺も我慢してたんだよ」


「やっぱり~」


「でもよ
結婚式当日泣くのもかっこ悪いから今のうち泣いとくか…」


「そうだね」


その後2人で笑いながら大泣きした

ふっと台所を見るとお母さんも泣いていた

お父さんお母さん
私は2人の子供に産まれてきてとても幸せです

ありがとう
ありがとう
ありがとう…
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