さよならのラブレター
私の手をつかんでカッターを取った



「お前…」


「のぶちゃんに会いに行くんだから邪魔しないでよ!!」




「唯?
お前、宣之くんが亡くなってどんな気持ちだ!?」





「お父さん…
どうやって言葉にしたらいい?」



「唯…」


「悲しくて、寂しくて、真っ暗の中に一人ぼっちなの…

ねえお父さん…
誰にあたればいいの?
誰とも会いたくない
でも誰かにすがりたい…
私はどうしたらいいの?
忘れようとしても忘れられないの…
忘れたくないの
でも思い出すとどうしようもない感情が湧き上がってくる…」




お父さんは泣いていた…



「なぁ唯…
俺も、正直唯にどんな言葉をかけたらいいかわからない…

でもな、忘れる必要なんかない
誰が忘れろなんて言った?」



「お父さん…」




「どうしようもない感情が出てきたら俺にあたればいい!!!

その感情を無理に沈める必要なんかないぞ!!!

そのくらい俺が受け止めるぞ!!!
唯は俺の娘なんだから!!

たった一人の娘なんだから!!!」


「…。」
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