秘密の幻


丘を登る間、


無口な航が
たくさん話してくれた。


登るのがつまらなくて
ふいに私が後ろを
振り向いてしまわないように。


航は
たくさんのことを
喋ってくれた。



『俺、無口で、
あまり気持ちとか
伝えられてないけど

でもな、
めっちゃ……好きだから。
いつもは
恥ずかしくて
言えないけど

まじで
大事に思ってるから。』




私は

ただ


うん、うん、って
頷きながら
坂道を登る。




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