神様を信じる小さないきもの
小さないきものたち
確か、まゆちゃんと親しくなって、一緒に遊び出したのはあの居残りお弁当を二人でクリアしたすぐ後だった。
私は体があまり良くなかったので、母が外で遊ぶ事を許さず、遊ぶといえば家でおもちゃでガチャガチャするか、お絵書きするくらいだった。
しかし、唯一外で遊ぶのを許されたのは家の前にある小さな土手で土いじりする事だった。
その頃私は小さな川沿いの棟続きの平屋に住んでいて、家の前に自転車がかろうじて通れる土の道があって、川と道の間にこんもりと高さ1メートルもない土手があって、草木がたくさん生えていた。
昔の人が言うには川の堤防跡らしく、私の平屋が建つ前の田んぼを増水から守ったそうだ。
だから、すぐ近くの川を渡る小橋と土手の接しているところに、小さなお地蔵さんが祭られていて、人々が天災に対して畏怖と尊敬をこの小さな土手を大切にすることによって保たれてきたのだ。
私とまゆちゃんは幼いので当然、そんな難しい事を知らずに土いじりをして遊んでいたのだが、なぜか雰囲気というか、その何気ない土手を聖地のように感じ出して、世の中の不思議とまだ知らない未知の領域を遊びながら幼稚園児なりに考えたような事をしていた。
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