蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
氷悠は軽くため息をつき、自分が知る本で読んだ簡単な知識を教えた。


「清流に生息し、夏の夜に舞う。蛍は――発光するそうだ」

「光るんですか?」

「オレも詳しくは知らない。見た事ないし」


深行が先へ進んで行き、氷悠と空が続く。


生き物の気配はなく、海藻すら生えていない。どこまでも続く、透き通り美しい蒼しかない世界が続くだけ。


本当に海だろうか、と考えている氷悠の背中を空が見つめていた。そんな空に気がつき、氷悠が振り返る。



「ほら」

「氷悠?」

「手、繋いでやる」

「ありがとうございます」



差し出された手を空が取る。



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