蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
*6*あの男再び
この状況下でも、男の態度は出会った時と一切変わらず、今置かれている状況を忘れてしまいそうだ。


空の姿を確認すると、男は氷悠に微笑む。


「お姫様、ちゃんと助けてくれたんだね」

「お前が望んだ事だろ」

「まあね。けど、君が選んだ事だ。俺はキッカケでしかないんだよ」

「どういう意味だ」

「残念時間切れ。ここから早く出ないと、騎士様がやって来るよ――氷悠」

「騎士……アイツか」


空の専属騎士と名乗った男を思い出す。人の良さそうな青年、が氷悠の第一印象だった。少し会話しただけだが、それだけでも騎士としての能力が高いのを感じ取れた。


氷悠が考え込んでいると、男が右手を翳す。ただそれだけの動作なのに、何故か目が離せなくなってしまった。


なんて事もない動作。



なのに、本能的に護身し心が警笛を鳴らす。






何かとんでもない力を秘めている、氷悠はそう思った。






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