どっちつかずのキミ。
意識








(ドキドキ‥・ドキ)


この、音の正体は、一体何だろう―。



あれから数日が経ち、嫌がらせは嘘のように収まって、あたしは何ともないいつもの日常に戻っていた。

だけど、あの日以来、一つだけ、ほんの一つだけ…変わったことがある。



(ドキドキ‥・ドキ)


この心臓音‥・


以前はしなかった(と思う、、)。



心臓はいつも規則正しく動いているだろうに、あたしは最近何故だか特に心音を意識するようになり、知らず知らずに気になり始めた。

この心臓音は、どこか今までと全く違うものに感じる。(あたしの気のせいかもしれないけど・・・ね)


あたしは体育の授業中にも関わらず、ボーッとして男子のコートを眺めていた。
その中のたった一人に、目が行く‥・と。

―バチッ!

・・・うわ、目。今、目が合った。

その、あたしと・‥浬の、視線が一瞬、交わる―。


だけどあたしはフイッと目を逸らした。

今まで視線が合っても、こんなにドキドキしたことはないのに―‥・

今は一瞬でも目が合っただけで、心音も微かに揺れ動く。

今度は、心臓がバクバク、って言ってる。


「‥・みーう!今何で目ぇ逸らした?」

と言って浬はこっちへやって来て、あたしの顔を覗き込んで来る。

(うわ!何で来るッ)
「そ、逸らしてないし!」

あたしは浬に顔を見られないようにあさっての方向を向いた。








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