臆病なサイモン







* * *






俺がおぎゃあと産声を上げた時だけは、ふたり、世界一幸せだったのだと思いたい。









「あー、ババアうぜー」


夏休み前の二者面談。

たった今、面談終えたダチンコがうんざりした様子で教室から出てきた。


今は放課後。

一週間ちょいかけて、クラス全員の二者面談を済まそうって、センセーも大変だよ。

皆がみな、「俺、コレがしたいんす!」なんてはっきり言い切れるわけもないし、クラスメイト三十七人居れば、三十七人分の苦悩と不安と希望があるわけで。

漠然とした進路について語り合ったところで、俺の仲間内に、はっきりとしたビジョン持って頑張ってるヤツなんかいない。

受験だから焦っておべんきょ頑張るなんて真似、地味にかっこわりいからやりたくない。
けど、高校受験に失敗するなんてもっとかっこわりいから、なんとなーく頑張ってる。

そんなカンジ。



『お前がやりたいこと出来るとこに行けばいい』

センセーも親も卒業してった先輩達も、みんなこう言ってた。

でも、十五そこらで「将来、なにしたいんだヨ?」なんて問われても、ぶっちゃけ困るわけで。







< 109 / 273 >

この作品をシェア

pagetop